宮本誠司
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総合評定値アップ戦略

 まずは、企業規模別の総合評定値等の平均値を確認してみましょう。
 
 御社と比較していかがですか?

 完成工事高別の平均値と比較して下回っている評点が改善のポイントと考えられます。

                                          (2008年2月末データ)
企業規模
完成工事高
比較項目
総合
評定値
X1評点
X2評点
Y評点
Z評点
W評点
10億円以上
100億円未満
平均値
957
1056
766
723
1059
1121
最大値
1344
1492
2273
1525
1752
1500
最小値
586
390
454
599
1億円以上
10億円未満
平均値
758
782
623
707
780
881
最大値
1169
1145
2144
1266
1351
1500
最小値
403
390
454
459
1億円未満
平均値
591
610
540
600
623
548
最大値
1003
1067
1645
1292
1100
1300
最小値
288
390
454
450


 
 次に総合評定値(P)を10点上げる為には各指標の数値をどのくらい改善させなければならないかを
ご確認下さい。総合評定値(P)アップのポイントが見えてきます。

評価項目
変化の単位
増減
P換算
X1
平均完成工事高
341,667千円
40
10
X2−1 自己資本額
300,000千円
66
10
X2−2 平均利益額
74,500千円
66
10
Y1
純支払利息比率
−0.65%
50
10
Y2
負債回転期間
−5.906ヶ月
50
10
Y3
総資本売上利益率
11.36%
50
10
Y4
売上高経常利益率
10.83%
50
10
Y5
自己資本対固定資産比率
272.73%
50
10
Y6
自己資本比率
33.71%
50
10
Y7
営業キャッシュフロー
3.667億円
50
10
Y8
利益剰余金
17.442億円
50
10
Z1
技術職員数値
18点
40
10
Z2
平均元請完成工事高
208,572千円
40
10
W1
労働福祉の状況
15点
150
22.5
W2
建設業の営業年数
4年
80
12
W3
防災活動の貢献の状況
15点
150
22.5
W4
法令遵守の状況
省略
W5−1 監査の受審状況
8点
80
12
W5−2 公認会計士等の数
1人
40
W5−3 2級登録経理試験合格者の数
3人
40
W6
研究開発の状況
省略


例えば、平均完成工事高(X1)の増額で総合評定値を10点あげるためには、3億4千万円も増額させる必要があります。実際は、平均完成工事高は2期平均か3期平均で求めますので、審査対象期に増加させなければならない金額はもっと多くなります。

 平均完成工事高(X1)や自己資本額(X2)、平均利益額(X2)、平均元請完成工事高(Z2)など単純に規模が求められる絶対評価の指標で総合評定値アップを目指すことは中小の建設業者様にとってはなかなか厳しいものがあります。


 目指すべきは規模の小さい建設業者の方がむしろ数値を改善しやすいY評点やZ評点、W評点です!
(表中で赤字にしている項目がお勧めです!)

 ただし上記以外が関係ないわけではありません。あらゆる評点を見直すことが総合評定値アップにつながります。


総合評定値アップの戦略


 総合評定値を上げるためには、言うまでもなく各評価項目の最大化を図るほかないわけですが、いくつか注意すべき点があります。

 まず、ある評価項目をあげるために実施したことが他の評価項目ではマイナスに働くことがあるという点です。例えば、業種別完成工事高(X1)をあげるため利益度外視の安易な受注を繰り返すと確かに業種別完成工事高(X1)の点数は上がるかもしれませんが、利益率が悪化することでY評点が下がり、総合評定値P点も思ったほど伸びないということがありえます。

 第二に、いくつかの評価項目は受審する業種だけに点数が与えられる、という点です。受審する業種が土木一式工事だけの場合、管工事の完成工事高がいくら増えても、土木一式工事の業種別完成工事高(X1)や業種別元請完成工事高(Z)の点数にはまったく反映されません。このことは技術職員数(Z)についても言えます。従業員が土木一式工事とは関係のない資格をいくらとってもZ評点のアップにはつながりません。一方、X2評点やY評点、W評点は業種に関係なく、共通して与えられます。

 第三に、評価項目ごとに対象となる期間が異なる、という点です。業種別完成工事高(X1)や業種別元請完成工事高(Z)は2期又は3期平均で評価され(必ずどちらかに統一)、平均利益額(X2)は2期平均で評価されます。あとの自己資本額(X2)、経営状況(Y)、技術職員数(Z)、その他審査項目(W)は審査基準日時点で評価されます。

 



 次に総合評定値の1点の重みについて考えていきましょう。

 例えば、熊本県の公共工事の等級表(平成21.22年度)は下記のようになっています。

                工事種類規模別等級表
工事の種類
等級
工事の請負対象金額
土木一式工事
A


   3,000万円以上
   1,200万円以上      3,000万円未満
     300万円以上
     300万円未満
建築一式工事
A1
A2


 1億2,000万円以上
    5,000万円以上 1億2,000万円未満
       2,500万円以上    5,000万円未満
       1,000万円以上       2,500万円未満
       1,000万円未満
舗装、電気及び管工事

B
       1,000万円以上
            300万円以上      1,000万円未満
            300万円未満

 等級は次表のように経営事項審査の総合評点に技術事項等評価項目及び数値により算出された技術事項等評価点数を加えた総合点数に応じて、次に定める基準に基づきそれぞれの等級に格付けされます。

                   等級区分の資格要件表
等級
土木一式工事
建築一式工事
舗装工事
電気工事
管工事
A
1010点以上
1000点以上
930点以上
990点以上
950点以上
910点以上
870点以上
800点以上
860点以上
790点以上
780点以上
730点以上
720点以上
860点未満
790点未満
780点未満
730点未満
720点未満


 まず、工事種類規模別等級表についてですが、例えば管工事の場合、Bランクになると300万円以上の熊本県の管工事入札に参加できますが、Cランクでは入札に参加することさえできません。その等級についてですが、等級区分の資格要件表によると管工事の場合、Bランクに入るためには780点以上の総合点数が必要となります。779点ではわずか1点足りないだけですが、Cランクとなります。結局、1点足りないだけで、300万円以上の熊本県が発注する管工事の入札に参加さえできないことになります。

 おそるべきことです!
 入札に参加することさえできないなんて・・・。


 各市町村が発注する公共工事もおおよそ熊本県と似たような基準を採用しているものと思われます。(地元業者への配慮が多少はあると思われますが。

 また、各市町村では業種別に総合評定値で建設業者をランキング付けしています。このランキングが建設業者選定でどの程度重要視されるかは各市町村によって違いがあるでしょうが、上位ランキングの方が何かと有利であることは間違いないでしょう。

 
 あとで悔いを残すことのないように経営事項審査では1点でも高い総合評定値を獲得しましょう!


総合評定値の求め方

業種別完成工事高評点(X1)は一定の計算式により390〜2,268の点数が与えられます。この数値に0.25を掛けたものが総合評定値P点となります。

X2評点は自己資本額、平均利益額により構成されています。自己資本額は一定の計算式により361〜2,114の点数が与えられ、平均利益額は一定の計算式により547〜2,447の点数が与えられます。自己資本額評点と平均利益額評点を次の算出式に当てはめます。

 X2=(自己資本額評点+平均利益額評点)÷2

この数値に0.15を掛けたものが総合評定値P点となります。

 経営状況評点(Y)に関するx1〜x8までの指標はそれぞれの数値を上限値と下限値のあるそれぞれの算出式に当てはめて、経営状況点数(A)を求めます。

 経営状況点数(A)=−0.465×(x1)−0.0508×(x2)+0.0264×(x3)+0.0277×(x4)
             +0.0011×(x5)+0.0089×(x6)+0.0818×(x7)+0.0172×(x8)+0.1906

 さらに経営状況点数(A)を次の算出式に当てはめて経営状況評点(Y)を求めます。

 経営状況評点(Y)=167.3×経営状況点数(A)+583

 経営状況評点(Y)の総合評定値P点に占める割合は20%とされています。

 Zは技術職員数、業種別元請完成工事高により構成されています。技術職員数評点は一定の計算式により510〜2,335の点数が与えられ、業種別元請完成工事高評点は一定の計算式により210〜2,491の点数が与えられます。技術職員数評点と業種別元請完成工事高評点を下記の算出式に当てはめてZ点全体の評点を求めます。

 Z=(技術職員数評点)×4/5+(業種別元請完成工事高評点)×1/5

 Z評点の総合評定値P点に占める割合は25%とされています。

 W評点はw1〜w6それぞれに加入の有無で与えられる加点、減点や一定の計算式により算出された数値を次の算出式に当てはめて求めます。

 W=(w1+w2+w3+w4+w5+w6)×10

Wの総合評定値P点に占める割合は15%とされています。

総合
評定値
評点の記号
評価項目
P点全体に占める 評価項目内部の
配点
ウェイト
配点
ウェイト
X1
業種別完成工事高
2,268
〜390
25%
-
-
X2
自己資本額(絶対額)
2,280
〜454
15%
1,057
46%
平均利益額(絶対額)
(利払前税引前償却前の2期平均)
1,223
54%
経営状況
1,593
〜0
20%
-
寄与度
x1
純支払利息比率
-
-
29.9%
x2
負債回転期間
11.4%
x3
総資本売上総利益率
21.4%
x4
売上高経常利益率
5.7%
x5
自己資本対固定資産比率
6.8%
x6
自己資本比率
14.6%
x7
営業キャッシュ・フロー(絶対額)
5.7%
x8
利益剰余金(絶対額)
4.4%
技術職員数
2,366
〜450
25%
1,868
79%
業種別元請完成工事高
498
21%
その他の審査項目(社会性等)
1,750
〜0
15%
-
-
W1
労働福祉の状況
-

雇用保険加入の有無
△300
健康保険及び厚生年金加入の有無
△300
建設業退職金共済制度加入の有無
150
退職一時金もしくは企業年金制度導入の有無
150
法定外労働災害補償制度加入の有無
150
W2
建設業の営業年数
600
W3
防災活動への貢献の状況(防災協定締結の有無)
150
W4
法令遵守の状況(営業停止処分等の有無)
△300
W5
建設業の経理の状況
-

監査の受審状況
200
公認会計士等の数
100
W6
研究開発の状況
250



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